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みんな戸惑う!? 皮膚病理のカベ
治療の効果が思うように得られない時、その原因を突きとめるための最終的な手段として病理検査(生検)を選択される先生方は少なくないと思います。
臨床の先生方は、病変が見られる組織を摘出し、ホルマリンで固定して検査機関に送る。病理の先生は、作成した標本から様々な情報を読み取り、診断報告書を臨床の先生に送る。というのが一般的な病理の流れになりますが、皮膚病理では病理医からの結果と臨床診断との摺り合わせが重要であり、ときに診断が困難な場合やズレが生じることが避けられません。高価な検査にも関わらず、適切な臨床診断ができず、皮膚病理をあまり積極的に利用しなくなるということが現実としてあるように思われます。
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〝臨床家による皮膚病理〟の強み
病理検査と臨床像の摺り合わせをどうするか。その視点で考えた時、大きな強みを発揮できるのが我々のような臨床家の皮膚科医です。検査結果から得られた情報をただ結果として報告するだけではなく、診療に役立てられるよう咀嚼してフィードバックするように心がけています。実際に「検査結果を診断や治療プランとして役立てることができた」という声もいただいています。
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皮膚病理、今でしょ! のタイミング
皮膚病理検査はまた、依頼のタイミングも大事です。
以下いずれかに該当すると判断された場合は、速やかに検査依頼をされることをおすすめします。
1よく経験する病気を考えて治療をしたが、治療効果が上がらない場合
2普段経験しないような症状の場合
3診断や治療プランなどを全くイメージできない場合
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いざ検体採取、その前に!
皮膚病理を依頼される上でタイミングと同じくらい重要なこと、それは採取部位です。どの部位を検体にするか、その最初の決定が検査結果を大きく左右します。どこを採取してよいか悩まれる場合には、その段階からどうぞ我々におまかせください。当クリニックでは皮膚病理検査だけのご紹介でも受け付けています。ご依頼いただければ「皮膚病理検査が必要かどうか」も含めて検討できますし、検査する場合も、生体の観察と顕微鏡での組織観察の両方を一人の人間がトータルで行えますので、より総合的に診ることができます。
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採材・送付で注意すべき4つのこと
検体のコンディションを良好に保ち、検査の精度を最大限に高めるために、次の点に注意していただきたいと思います。
1採取部位をしっかり消毒しないこと場合
2組織をピンセットでつままないこと
3濾紙などの台紙に組織を貼り付けること
4一つ一つ別の容器に入れること
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皮膚病理は、上手に活用していただければ診断や治療法の選択にこの上なく有用なものです。
皮膚でお悩みの先生方には今一度この皮膚病理を見直していただき、
日々の臨床にあたっていただけましたら幸いです。
細かな部分で不安な点、ご不明な点などありましたら、遠慮なく当クリニックにご相談ください。
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犬と猫の皮膚科 病理検査 診断報告書サンプル
1ページ目 : 飼い主様用診断書
検査結果、評価、および病気や治療に関して簡潔な内容を記載しています
2ページ目 : 獣医師様用診断書
病理検査結果から考えられる病気に対する追加検査、治療方針を記載しています。治療に関しては使用薬剤だけではなく、投与量や期間も記載されています。