犬と猫の皮膚科

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特集 ヒフカガッカイ報告2019
Review
森 啓太
一般講演 2019.03.10 SUN 16:00~16:45
外耳炎におけるイズオティック®の臨床的有効性の検討

去年に引き続き「一般講演」をする機会をいただきました。
一般講演というのは、臨床研究でわかったことや珍しい病気について、参加している獣医師の前で10分ほど発表し、その後質疑応答に応えていく、という形のものです。授業のような形で行ういわゆる「講演」とは少し違っていて、どちらかというと新しい情報を提供していきながら、他の獣医師とディスカッションするのが目的となります。

今回の発表タイトルは
「外耳炎におけるイズオティック®の臨床的有効性の検討」
というものです。なんとなく内容がわかるでしょうか?
ちなみに「〇〇の検討」とか「〇〇に関する考察」とか「〇〇の一例」とかは学会発表でよくあるタイトルです。日常生活ではまず口にしないですけど、学会あるあるですね。

簡単に発表内容を紹介していきましょう。
まず「外耳炎」ですが、読んで字の如く、耳に炎症が起こる病気です。「外耳」というのは、耳の入口から鼓膜までのことを言います。

動物病院に来る犬の病気を調べてみると、外耳炎は約14%と実に多くみられる病気です。みなさんのおうちのワンちゃんも一度は経験したことがあるかもしれませんね。原因は犬アトピー性皮膚炎やマラセチアなどの感染、犬種の個性によるものなど多岐にわたります。外耳炎の原因や重症度、検査の結果などをふまえて、耳洗浄、点耳薬、のみぐすり、場合によっては外科手術を駆使して治療にあたります。
よくみられる一般的な外耳炎では、点耳薬を使って治療を進めていくことがほとんどです。使用する点耳薬もいろいろで、自宅で点耳するもの、病院で点耳するものなどあります。そんな中、昨年少し変わったタイプの点耳薬が発売されました。

イズオティック®という点耳薬をご存知でしょうか? http://www.virbac.jp/product/dermalcare/easotic.html#movie
大半の飼い主様は知らないかもしれません。薬液の入ったボトルにノズルがついており、自宅で5日間点耳してもらって治療終了、という点耳薬です。この点耳薬が外耳炎に対してどのくらい有効なのか?、というのを調べるのが今回の目的です。

目的は割と単純なんですが、外耳炎って意外と評価が難しかったりするので、評価方法をどうするかというあたりも発表に取り入れました。
詳しい内容は割愛しますが、今回は「けっこう効きそう」という結論を出しました。
自宅でも点耳しやすかったり、しっかりとした量が注入できることがその理由だと考えています。

ちょっと結論をぼやかしていますが、これには理由があります。
今回の自分の研究もそうですが、ほとんどの研究には「落とし穴」や「制限」があります。
「治療薬以外の条件によって、良い結果につながった可能性はないか?」
「別の現場で使用したときに、違う結果になる可能性はないか?」
など、質疑応答の際にディスカッションしていきます。
幸か不幸か、今回の発表ではあまり突っ込んだ質問はされず、しどろもどろになることもありませんでした(たぶん)。

話がずれますが、
最近はテレビやネットニュースなどで「こんなすごい論文が出ました!これで病気が治ります!」みたいなことを言ってしまっていることがありますが、あの手のニュースは少し距離をおいて見たほうが良いかもしれません。論文の解釈は難しく、獣医の中でも違った見方になることもあります。そのために学術雑誌というのがあって・・・と話はだいぶずれてしまうので、その話はまた別の機会に。

閑話休題。

今回は外耳炎の新しい治療薬に関して発表をさせてもらいました。
新しい薬ももちろん長所と短所があります。これまでの薬と比べてどういうところが良いのか、どういった場合に使える薬なのか、をきちんと把握することがとても重要になります。発表をまとめていく中で、外耳炎に関する知識が整理され、治療薬に関する特徴を自分なりに掴むことができました。自分の中の知識の整理ができることも、発表をすることで得られるメリットのひとつかもしれません。

実はこうした研究は学会で発表しただけで終わり、ではありません。
今回の発表を論文にまとめて、雑誌に投稿し、掲載され、世界中の人に見てもらうことが一応のゴールになります。日々の仕事にかまけて論文化を怠っている自分ですが、これを機に頑張ろうと思いました。

O・M・A・K・E
ここから先は、学術的な話ではなく、オマケの読み物。
ガッカイとそこに参加する僕ら獣医師に対する
素朴な疑問にお答えしたいと思います。
本当はガッカイ風景の写真がいろいろあれば良かったんですが、
当日はバタバタしていて写真を1枚も撮ってませんでした…。
すみません。お詫びにうちの猫の写真を載せます。
それではどうぞお楽しみください
愛猫紹介: にもの  ♂
家でゴロゴロすることが大好きですが、
スイッチが入ると、急に活動的になります。
シャイです。まったく誰に似たのでしょうか。
そもそもガッカイって?

「日本獣医皮膚科学会第22回学術大会・総会」は、国内の皮膚科に携わる獣医師の中でも最も大きな集まりで、1年に1回、毎年3月に行われています。皮膚科に興味のある獣医師が集まって、講演を聞いたり発表したりしながら知識を深めていく、という集まりですね。海外の有名な先生や医師の先生を招いて講演を聴けるという貴重な機会になっています。

実録 ある獣医師のガッカイの一日

動物病院に行くとたまに、
「◯月◯日は学会のため、臨時休診となります」
みたいな張り紙がありますよね。
ガッカイガッカイっていうけど、実際何してんの? 遊んでんじゃないの?
というご意見もあろうかと思いますので、実際どんなことをしているのか、時系列を追いながら書いてみようと思います。

8:00起床
毎年大宮で開催しているのでいつもは早起きしないといけないんですが、今回は両国開催だったのでゆっくり準備できました。(実はこの時間から「円卓会議」という企画があって、朝からディスカッションに参加している先生も少人数ながらいます。村山先生は講師として毎年早起きして参加しています。お疲れ様です。)
9:00会場到着
会場について参加の手続きが終わったら、ひと通り会場を眺めておきます。会場の大きさや雰囲気、そしてトイレの場所を確認しておきます。皮膚科の学術大会では、2つの会場で同時に講義を進めているので、どの時間にどちらの会場に行くかも決めておかないといけません。会場をぶらぶらしていると顔見知りの先生に続々会うので、近況報告しながら始まるのを待ちます。
9:30午前の講義開始 〜海外招聘講演〜
迷った挙げ句、午前中はウィスコンシン大学のDouglas DeBoer先生による「皮膚疾患に対する免疫療法の実際」という講義を聴くことにしました。今回取り上げるのはアレルゲン免疫療法、いわゆる「減感作療法」といわれる治療法です。人間では花粉症の治療でおなじみですね。獣医では主にアレルギー性皮膚炎に使用されていますが、日本ではまだまだ普及していません。
どんな話が聴けるんだろう・・・とワクワクして待っていましたが、機械のトラブルでスライドが映らず、なんとアドリブで講義が始まりました。さすが世界で活躍されている先生は肝の座り方が違いますね。1時間弱かかってやっとトラブル解消。無事にスライドが映り始めました。
内容は減感作療法のメカニズムのおさらいや、効果に関してこれまで報告されている論文の紹介、実際の治療プロトコルや評価方法など、基礎となるデータから臨床の知見まで、2時間でまさに総ざらい、という印象でした。減感作療法、個人的にまだまだ整理できていなかったので、いろんなことがストンと腑に落ちました。ただ、現在のところ日本でコンスタントに使用できる治療薬が1種類(!)しかないので、まだまだこれからの治療法といえるかもしれません。大事なのは診断、そして導入するタイミングでしょうか。
12:00ランチと発表の準備
(実はこの時間も「ランチョンセミナー」という企画があって・・・以下割愛)
久しぶりに会う友人とお昼ご飯しました。思い出話、将来の話に花が咲きましたが、のんびりしているわけにも行かず・・・。腹ごしらえが済んだら午後の発表に向けて最後の準備に入ります。スライドの誤字脱字、モニターにつないで見え方の確認など、最終チェックを行います。
13:30午後の講義開始 〜一般講演〜
午後はまるまる一般講演を聴きに来ました。今回は自分も含めて9題、つまり9人の先生の発表がありました。持ち時間が1人15分、休憩も挟みつつなんだんかんだで2時間半くらいあります。聴いてる方も大変ですね。お疲れ様です。
珍しい疾患の発表も多かったですが、印象に残ったのは外耳炎の細菌叢を調べた発表でした。技術の発達により、獣医の領域でも「マイクロバイオーム」や「マイクロバイオータ」に関する研究が増えています。「腸内フローラ」って聞いたことありませんか?あれの耳版、皮膚版と考えてもらえばいいと思います。細菌のバランスが崩れることが病気の引き金になっているのか?それとも逆で、病気になるから細菌のバランスが崩れるのか?ということが少しずつ獣医の領域でも調べられ始めています。最新の機械がないと調べられないので、臨床家にはなかなか手が出ないですが、かっこいい研究ですね(最も優れた発表に送られるアワードも、やはりこの発表でした。)
15:15ポスター質疑応答
時間が前後しますが、午後の休憩時間の間にポスター発表の質疑応答があります。ポスター発表とは、一般講演と同じように珍しい疾患や新しい検査・治療に関して、1畳くらいのポスターにまとめたものです。これが会場の後ろにいっぱい貼ってあります。会期中、いつでも見れるのですが、作成者がポスターの前に立って質疑応答を受けるという時間がここで設けられているわけです。ただ、もうとんでもない人数が集まるので、ゴッチャゴチャです。まともにポスターが見れません(笑)。僕はこの時間にポスターを見るのは諦めて、企業のブースや書籍を眺めることにしました。こっちもこっちで人が多い!
17:00症例検討会
このくらいの時間になるとさすがに疲れてきますが、最後のコマなので気合を入れて挑みます。実はこの症例検討会は、横井先生と伊從先生というトークのめちゃめちゃ面白い先生が2人で繰り広げる毎年恒例の企画になってます。楽しみながら勉強にもなるという、素晴らしい企画ですね。今回は脱毛症に関してでしたが、やはりどの先生も悩みながら治療しているんだなあとひしひしと実感しました。もっと良い治療やデータがあるといいなあと思いつつ、そういう貢献も自分からして行かないとなあと、ヘトヘトの脳で考えていました。
19:00〜交流会?
夜は夜で、久しぶりの先生や新しく知り合った先生と交流会、という名の飲み会です。
知り合いの先生が増えると楽しいですね。真面目な話”も”します。みんな疲れていて明日も早いので、割と早めに解散します。お疲れ様でした。
だいたいこんな感じでした。
「こんな遊んでねーよ!」とどこかから怒られそうですが、あくまで一例なのであしからず。
獣医さんは真面目な人が多いので、こういう学会も盛り上がって楽しいです。
個人的な反省としては、人前でしゃべると緊張して早口になってしまうので、もう少し場馴れしなきゃなあと思った今回の学会でした。 

犬と猫の皮膚科

犬と猫の皮膚科は、2名のアジア獣医皮膚科専門医がホームドクターの獣医師様からのご紹介により二次診療サービスをご提供する皮膚科専門のクリニックです。犬と猫の皮膚科代表:村山信雄
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