シンポジウムでは、オクラシチニブ、ステロイドと続き、私は、
「シクロスポリンと犬インターフェロンγ製剤の使い方」を担当させていただきました。
まず、シクロスポリンですが、
犬の皮膚炎に使用され始めてから、約15年経っています。ですから、皮膚炎に対してはアップデートと呼べる内容はほぼないのですが、オクラシチニブの登場のおかげで、シクロスポリンの利点がよりはっきりしてきました。
その利点は3つ、1. 長期安全性、2. 減量可能、3. 重症例での効果です。特にオクラシチニブの効果があまり期待できない、もしくはステロイドが減量できない重症例では、なるべく短期的に、ですが、ステロイドと併用することで症状を改善、ステロイドを減量できることが多々あります。
一方、免疫疾患に対しては、様々な疾患に対するシクロスポリンの効果が報告されていますが、エビデンスが十分であるもの、すなわち有効性が明らかな疾患は肛門周囲瘻と脂腺炎の2つであり、その他、エリテマトーデスや落葉状天疱瘡などは有効性が期待できる疾患といえます。
次に犬インターフェロンγ製剤ですが、
そもそも薬として承認されている効果は免疫調節作用ですが、その他に感染防御、抗腫瘍効果と3つの異なる機能があります。抗腫瘍効果としては、皮膚科では上皮向性リンパ腫に対し使用することがあります。残念ながら延命治療にはならず、皮疹を積極的に改善する訳ではありませんが、犬のQOLを改善するのに役立ちます。
尚、プレドニゾロンも理論的には緩和治療になるため、犬インターフェロンγ製剤に併用することがありますが、耐性と医原性クッシングに配慮する必要性があるため、なるべく末期に併用することを目標にしています。